「レポートは見れるけど、分析ができない」
GA4の標準レポートは見ている。PVもセッション数もCVRも把握している。でも、「なぜCVRが下がったのか」「どこを改善すれば成果が上がるのか」がわからない——この状態に心当たりはありませんか。
「レポートを見る」と「分析する」は別物です。レポートは「何が起きたか」を示しますが、分析は「なぜ起きたか」「どうすべきか」を導き出します。
GA4には「探索」という強力な分析機能があります。しかし、自由度が高いゆえに「何をすればいいかわからない」と感じる方が多い。この記事では、探索レポートの3大分析手法(セグメント比較・ファネル分析・パス分析)の具体的な使い方と、「何を発見すべきか」という実践的な視点を解説します。
探索レポートの基本
アクセス方法
GA4管理画面 → 左メニュー「探索」→「空白」または各テンプレート
探索レポートの構成要素
- 手法:分析の種類(自由形式、ファネル、パス探索など)
- セグメント:分析対象のユーザー/セッションの絞り込み
- ディメンション:分析の切り口(ページ、チャネル、デバイスなど)
- 指標:分析する数値(セッション数、CV数、イベント数など)
- フィルタ:追加の絞り込み条件
分析手法1:セグメント比較
何がわかるか
「CVしたユーザー」と「CVしなかったユーザー」の行動の違いを発見できます。これがわかれば、「CVするユーザーの行動を増やし、離脱する行動を減らす」施策が打てます。
設定手順
- 探索 →「空白」→ 手法「自由形式」
- セグメントを2つ作成:
- セグメントA:キーイベント(CV)を達成したユーザー
- セグメントB:キーイベントを達成しなかったユーザー
- ディメンション:ランディングページ、デバイスカテゴリ
- 指標:セッション数、エンゲージメント率、ページビュー/セッション
何を見るべきか — 実践的な分析視点
| 比較項目 | CVユーザーに多い傾向 | 改善施策 |
|---|---|---|
| ランディングページ | 事例ページ、機能紹介ページ | これらのページへの導線を強化 |
| 閲覧ページ数 | 4ページ以上 | 回遊性を高める内部リンク設計 |
| デバイス | PC比率が高い | モバイルのCVR改善(フォーム最適化など) |
| 参照元 | 指名検索の比率が高い | ブランド認知施策の強化 |
WebLeapの実践例: あるSaaSクライアントのセグメント比較分析で、CVしたユーザーの82%が「事例ページ」を閲覧していたことが判明しました。一方、CVしなかったユーザーの事例ページ閲覧率はわずか23%。この発見をもとに、サイト内のあらゆるページから事例ページへの導線を強化した結果、全体のCVRが1.4倍に改善しました。
分析手法2:ファネル分析
何がわかるか
ユーザーがCVに至るまでのステップを可視化し、どのステップで何%が離脱するかを明確にできます。
設定手順
- 探索 →「ファネルデータ探索」
- ステップを定義(例:BtoBサイトの場合)
- ステップ1:サイト訪問(session_start)
- ステップ2:サービスページ閲覧(page_view, page_location含む /service/)
- ステップ3:料金ページ閲覧(page_view, page_location含む /pricing/)
- ステップ4:お問い合わせフォーム表示(page_view, page_location含む /contact/)
- ステップ5:お問い合わせ完了(form_submit_complete)
ファネル分析の読み方
ステップ1: 10,000人 (100%)
↓ 離脱率 60%
ステップ2: 4,000人 (40%)
↓ 離脱率 50%
ステップ3: 2,000人 (20%)
↓ 離脱率 75% ← ここが最大のボトルネック
ステップ4: 500人 (5%)
↓ 離脱率 40%
ステップ5: 300人 (3%)
最大の離脱が起きているステップが、最も改善インパクトが大きいポイントです。
何を見るべきか — 実践的な分析視点
- 最大離脱ステップ:そのページの内容やUXに問題がないか確認
- デバイス別の離脱差:モバイルで特に離脱が多いステップはモバイルUXの問題
- 新規 vs リピーター:セグメントを切り替えて、初回訪問者のファネルを確認
- オープンファネル vs クローズドファネル:「オープン」にすると各ステップに直接流入した人も含む。「クローズド」は順序通りに進んだ人のみ
失敗談: ファネルの「クローズドファネル」設定で分析したところ、ステップ1→2の遷移率が異常に低く出ました。原因は、多くのユーザーがサービスページに直接ランディングしており、session_startの後にサービスページを閲覧するという順序を経ていなかったためです。「オープンファネル」に切り替えたところ、実態に近い数字になりました。ファネルの設定はオープン/クローズドの違いを理解してから使いましょう。
分析手法3:パス分析(経路データ探索)
何がわかるか
ユーザーが実際にどのような順序でページを遷移しているかを可視化。想定していた導線と実際の行動の乖離を発見できます。
設定手順
- 探索 →「経路データ探索」
- 始点を設定(例:トップページ、または特定のランディングページ)
- ステップの種類:「ページタイトルとスクリーン名」または「ページパスとスクリーンクラス」
逆引きパス分析
パス分析の真価は「逆引き」にあります。
- 「終点」にCVページ(サンクスページ)を設定
- CVしたユーザーが、どのようなページ遷移を経てCVに至ったかを逆順に確認
これにより「CVに至る典型的なページ遷移パターン」が見えます。
何を見るべきか — 実践的な分析視点
- 想定外の遷移パターン:設計していない導線でユーザーが回遊しているなら、その導線を公式化する
- 離脱が多い遷移:あるページに遷移した後に大量離脱が発生しているなら、そのページの内容を見直す
- CVパスの共通項:CVユーザーに共通する遷移パターンがあれば、その導線を強化する
3つの手法を組み合わせた分析フロー
単体で使うよりも、組み合わせて使うことで分析の精度が上がります。
推奨フロー
1. ファネル分析で「どこで離脱しているか」を特定
↓
2. セグメント比較で「離脱したユーザーと通過したユーザーの違い」を発見
↓
3. パス分析で「離脱したユーザーがどこに行ったか」を追跡
↓
4. 改善仮説を立て、施策を実行
↓
5. ファネル分析で改善効果を計測
WebLeapのアプローチ: データに基づくPDCAでSEO施策のPVを月間200から70万に成長させたプロジェクトでは、このフローを毎月回していました。ファネルで離脱ポイントを特定 → セグメント比較で原因を仮説化 → パス分析で裏付け → 改善施策を実行 → 翌月のファネルで効果検証。この繰り返しが、持続的な成長を支えました。
探索レポートを活用するためのTips
1. 探索レポートは保存・共有できる
作成した探索レポートは保存され、チームメンバーと共有可能。定期的に確認する分析は保存しておきましょう。
2. 日付範囲に注意
探索レポートで使えるデータの範囲は、GA4の「データ保持期間」の設定に依存します(デフォルト2か月、最大14か月)。E-01で解説した通り、14か月に変更しておくことを推奨します。
3. サンプリングに注意
データ量が多い場合、探索レポートではサンプリング(一部データからの推計)が適用されることがあります。レポート上部に「サンプリング適用中」と表示されたら、日付範囲を短くするか、BigQuery連携で生データを分析しましょう。
現場のまとめ
GA4の探索レポートは「自由に分析できるツール」ですが、自由すぎて迷子になりがちです。最初は以下の3つの問いに絞って分析してみてください。
- どこで離脱しているか?(→ ファネル分析)
- CVする人としない人の違いは何か?(→ セグメント比較)
- CVに至る典型的なページ遷移は何か?(→ パス分析)
この3つの問いに答えられるだけで、「レポートを見るだけ」から「分析して改善する」に一段階レベルアップできます。
WebLeapのデータ分析基盤構築サービスについて詳しくはこちら → /service/data-analytics/