「とりあえず入れた」GA4、本当に動いていますか?
「UAが終了するからGA4を入れた。でも、その後何もしていない」——この状態のサイト、実はかなり多いです。
私自身、WebLeapとしてクライアントのGA4環境を監査する中で、約7割のサイトが「入れただけ」の状態だったという実感があります。データは取れているように見えて、実際にはコンバージョンが未設定、内部トラフィックが混在、イベントが初期値のまま——これでは「データがある」とは言えません。
この記事では、GA4を「とりあえず入れた」から「マーケティングに使える状態」にするための初期設定を、優先度順に解説します。
GA4がUAと根本的に違う3つのポイント
設定に入る前に、GA4とUAの違いを押さえておきましょう。ここを理解しないまま設定すると、UAの感覚で誤った判断をしてしまいます。
1. すべてが「イベント」ベース
UAでは「ページビュー」「セッション」「イベント」が別概念でした。GA4ではページビューもスクロールも、すべてが「イベント」として記録されます。
2. セッションの定義が変わった
UAでは30分の非操作でセッション切れ、日付変更でもリセットされました。GA4では日付をまたいでもセッションは継続します。このため、UAとGA4でセッション数に乖離が出るのは正常です。
3. コンバージョンは「自分で設定」するもの
UAでは「目標」として設定していたものが、GA4では「キーイベント(旧コンバージョン)」に変わりました。GA4はデフォルトではコンバージョンが何も設定されていません。ここが最大の落とし穴です。
優先度1:データストリームの基本確認
まずはGA4プロパティが正しくデータを受信しているか確認します。
確認手順
- GA4管理画面 → 「管理」→「データストリーム」
- ウェブストリームを選択
- 「過去48時間にデータを受信しています」の表示を確認
拡張計測機能も必ず確認してください。以下はデフォルトでONにすべき項目です。
- ページビュー(デフォルトON)
- スクロール(ページの90%到達を計測)
- 離脱クリック(外部リンクのクリック)
- サイト内検索
- フォームの操作
失敗談: 以前、あるクライアントで「サイト内検索のデータがゼロ」という相談を受けました。原因は単純で、拡張計測機能のサイト内検索がOFFになっていただけでした。設定画面を一つずつ確認する地味な作業が、実は一番大事です。
優先度2:内部トラフィックの除外
自社メンバーのアクセスがデータに混ざると、すべての分析が歪みます。特にBtoBサイトやアクセス数が少ないサイトでは影響が大きい。
設定手順
- 「管理」→「データストリーム」→ ストリームを選択
- 「タグ設定」→「内部トラフィックの定義」
- 自社のIPアドレスを登録(固定IPの場合)
- 「管理」→「データ設定」→「データフィルタ」で内部トラフィックフィルタを「有効」に変更
リモートワーク環境では固定IPでの除外が難しいケースもあります。その場合は、GTMでカスタムディメンション(例:internal_user = true)を付与し、レポートで除外する方法が有効です。
優先度3:コンバージョン(キーイベント)の設定
GA4の価値を最大化する最重要設定です。
マクロCVとマイクロCVの考え方
| 種類 | 例 | 用途 |
|---|---|---|
| マクロCV | お問い合わせ完了、購入完了 | 最終成果の計測 |
| マイクロCV | 資料ダウンロード、動画再生、スクロール75% | 中間指標・改善の手がかり |
WebLeapでの実践例: MONO Investmentのダッシュボード構築プロジェクトでは、マクロCV(申込完了)だけでなく、マイクロCV(料金ページ閲覧、シミュレーター利用開始、FAQ閲覧)を段階的に設定しました。これにより「どこで離脱するか」が明確になり、申込数80%改善につながるUX改善の起点になりました。
GA4でのCV設定手順
- カスタムイベントを作成(例:
form_submit_complete) - 「管理」→「イベント」→ 該当イベントの「キーイベントとしてマークを付ける」をON
GTM経由でイベントを送信する場合は、GTM側でタグを設定し、GA4側でキーイベントとして登録します(E-02のGTM連携記事で詳しく解説します)。
優先度4:カスタムイベントの設計
拡張計測だけでは取れないビジネス固有のアクションを計測します。
設計のコツ:「ユーザーの意思決定ポイント」を追う
闇雲にイベントを追加するのではなく、「ユーザーが次のステップに進む判断をした瞬間」に絞りましょう。
例(BtoB SaaSサイトの場合):
pricing_page_view— 料金ページの閲覧(検討段階に入った)demo_request_start— デモ申込フォームの表示(比較検討中)case_study_read— 事例ページの読了(社内説得材料を探している)
イベント命名規則
GA4の自動収集イベントとの混同を避けるため、以下のルールを推奨します。
[カテゴリ]_[アクション]_[対象]
例:form_submit_contact, btn_click_cta_header, page_read_casestudy
優先度5:クロスドメイントラッキング
複数ドメインでサービスを提供している場合(例:本体サイトと決済ページが別ドメイン)、この設定がないとユーザーの行動が途切れます。
設定手順
- 「管理」→「データストリーム」→ ストリームを選択
- 「タグ設定」→「ドメインの設定」
- 関連ドメインを追加
優先度6:データ保持期間の変更
GA4のデフォルトでは、探索レポートで使えるデータの保持期間が2か月です。これでは長期的な分析ができません。
- 「管理」→「データ設定」→「データ保持」
- 「イベントデータの保持」を14か月に変更
この設定は初日にやってください。後から変更しても、過去に遡っては適用されません。
優先度7:Googleシグナルとユーザーデータ収集の確認
クロスデバイス分析を有効にするための設定です。
- 「管理」→「データ設定」→「データ収集」
- Googleシグナルのデータ収集をON
ただし、Googleシグナルを有効にするとしきい値(データの非表示処理)が適用されやすくなります。レポートで「(other)」が増える場合は、レポートのIDを「デバイスベース」に切り替えることで回避できます。
設定後のチェックリスト
すべての設定が終わったら、以下を確認してください。
- [ ] リアルタイムレポートでイベントが正しく計測されている
- [ ] DebugViewでカスタムイベントのパラメータが表示される
- [ ] 内部トラフィックが除外されている(自分のアクセスが計測されていない)
- [ ] キーイベント(CV)がレポートに反映されている
- [ ] データ保持期間が14か月になっている
- [ ] クロスドメイン設定が必要な場合、正しく動作している
現場のまとめ
GA4の初期設定は「地味だけど、ここで手を抜くとすべての分析が無意味になる」作業です。私がクライアントのGA4環境を構築するときは、まず1〜2日かけてこの初期設定だけを徹底的にやります。分析の精度は、設定の精度で決まります。
特に重要なのは「マクロCVとマイクロCVの設計」と「内部トラフィックの除外」。この2つが正しくないと、その上に乗るダッシュボードもROI計算も、すべて信頼できないデータになります。
まずは今日、自社のGA4管理画面を開いて、データ保持期間の設定だけでも変更してみてください。それだけで、半年後の自分を助けることになります。
WebLeapのデータ分析基盤構築サービスについて詳しくはこちら → /service/data-analytics/