コンバージョンが「ゼロ」のGA4、意外と多い
GA4の管理画面を開いて、「キーイベント」のレポートを見てみてください。もしそこに何も表示されていなければ、あなたのGA4はコンバージョンを1件も計測していません。
これは珍しいことではありません。GA4はUAと違い、デフォルトではコンバージョンが一切設定されていません。UAから移行した際に「目標」が自動で引き継がれると思っていた方も多いのですが、GA4では手動で設定が必要です。
コンバージョン計測がないGA4は、ゴールのないサッカーのようなものです。どれだけボールを回しても、得点がつかない。この記事では、GA4でのCV設計の考え方から実装、検証、活用までを一貫して解説します。
CV設計の考え方:マクロCVとマイクロCV
マクロCV:ビジネスの最終成果
直接的に売上や契約につながるアクション。
- BtoB:お問い合わせ完了、デモ申込完了
- EC:購入完了
- メディア:有料会員登録
マイクロCV:最終成果に至る中間アクション
マクロCVへの道筋にある、ユーザーの「前向きな行動」。
- 資料ダウンロード
- メルマガ登録
- 料金ページの閲覧
- 事例ページの読了
- 動画の再生
なぜマイクロCVが重要なのか
マクロCVだけを見ていると、「CVが月10件。少ない。以上。」で分析が終わってしまいます。マイクロCVを設定することで、「どこまでは来ているが、どこで離脱しているか」が見えるようになります。
WebLeapの実践例: MONO Investmentのプロジェクトでは、マクロCV(申込完了)に加えて、マイクロCV(料金ページ閲覧、シミュレーター利用開始、FAQ閲覧、申込フォーム表示)を段階的に設定しました。すると「シミュレーターまでは使うが、申込フォームを表示した後に70%が離脱する」ことが判明。フォームのUI改善に集中投資した結果、申込数が80%改善しました。マクロCVだけ見ていたら、この発見はありませんでした。
GA4でのCV設定:3つの方法
方法1:既存イベントをキーイベントに指定
GA4が自動収集しているイベントや、拡張計測のイベントをそのままCVに指定する最も簡単な方法。
手順:
- GA4管理画面 →「管理」→「イベント」
- 対象イベントの行で「キーイベントとしてマークを付ける」をON
使えるケース:page_view(特定URLの場合)、file_download、click(外部リンク)など。
方法2:GA4管理画面でカスタムイベントを作成
既存イベントに条件を付けて新しいイベントを作成し、それをCVに指定。
例:サンクスページの表示をCVにする場合
1.「管理」→「イベント」→「イベントを作成」
- カスタムイベント名:
inquiry_complete - 条件:
event_name=page_viewpage_locationが/thank-youを含む- 保存後、
inquiry_completeイベントをキーイベントに指定
方法3:GTM経由でカスタムイベントを送信
最も柔軟な方法。フォーム送信、ボタンクリック、スクロール到達など、あらゆるアクションをCVにできます。
手順:
- GTMでGA4イベントタグを作成
- イベント名を設定(例:
form_submit_contact) - トリガーを設定(例:サンクスページ表示、またはデータレイヤーイベント)
- GTMで公開
- GA4管理画面で該当イベントをキーイベントに指定
失敗談: 方法2(GA4管理画面でのカスタムイベント作成)で、URLの条件を「等しい」ではなく「含む」で設定した結果、意図しないページまでCVとしてカウントされたことがあります。
/thank-youを「含む」にしたところ、/thank-you-newsletter(メルマガ登録完了)も含まれてしまいました。条件設定は「正規表現に一致」を使い、/thank-you$と末尾を明示するのが安全です。
CV設計のベストプラクティス
1. CVの数は絞る
GA4ではキーイベントを30個まで設定できますが、実際に意味があるのは5〜10個程度です。多すぎると「何が本当に重要なのか」がぼやけます。
推奨構成(BtoB SaaSの例):
| 種類 | イベント名 | 優先度 |
|---|---|---|
| マクロCV | inquiry_complete |
最重要 |
| マクロCV | demo_request_complete |
最重要 |
| マイクロCV | document_download |
高 |
| マイクロCV | pricing_page_view |
中 |
| マイクロCV | case_study_read_complete |
中 |
2. CV値(金額)を設定する
可能であれば、各CVに金額を割り当てます。これにより、チャネル別の貢献度を金額ベースで比較できるようになります。
例:
- お問い合わせ完了 = 50,000円(平均受注額 × 商談化率 × 受注率から逆算)
- 資料ダウンロード = 5,000円
3. イベント名は英語小文字_区切り
GA4のイベント名にはルールがあります。
- 英数字とアンダースコアのみ
- 先頭は英字
- 40文字以内
- 大文字小文字は区別される(小文字に統一が安全)
CV計測の検証方法
設定して終わりではありません。正しく計測できているか必ず検証します。
リアルタイムレポートで確認
- GA4管理画面 →「レポート」→「リアルタイム」
- 自分でCVアクションを実行
- リアルタイムレポートのイベントカードで該当イベントが表示されるか確認
- 「コンバージョン」カードにも表示されるか確認
DebugViewで詳細確認
- GTMのプレビューモードをON(またはGA4 Debugger拡張機能を使用)
- GA4 →「管理」→「DebugView」
- イベント名、パラメータ値を1つずつ確認
本番データで数値検証
設定後1〜2日経ったら、実際のCV数を確認。既知のCV数(フォーム送信通知のメール数など)と突き合わせて、大きな乖離がないか確認します。
CVデータの活用方法
正しくCV計測ができたら、以下の分析が可能になります。
1. チャネル別CV貢献度分析
「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」で、チャネル別のCV数とCVRを確認。どのチャネルに投資すべきかの判断材料になります。
2. ランディングページ別CV分析
「レポート」→「エンゲージメント」→「ランディングページ」で、どのページから入ったユーザーがCVしやすいかを分析。
3. ユーザー属性別CV分析
デバイス、地域、年齢層別のCVR差異を確認。モバイルのCVRが極端に低い場合、モバイルUIの改善が急務です。
4. コンバージョンパス分析
「広告」→「アトリビューション」→「コンバージョン経路」で、CVに至るまでのタッチポイントの順序を確認できます。(詳しくはE-07のアトリビューション分析記事で解説します。)
現場のまとめ
GA4のCV設定は「設定作業」ではなく「ビジネス設計」です。「何をコンバージョンと定義するか」は、「マーケティングの成果を何で測るか」と同義です。
まずはマクロCV1つとマイクロCV2〜3個から始めてください。完璧な設計を待つ必要はありません。計測を始めてからわかることのほうが、設計段階で考えることよりもはるかに多いからです。
WebLeapのデータ分析基盤構築サービスについて詳しくはこちら → /service/data-analytics/