無料で使えるBIツール、使わない理由がない
「レポート作成に毎週3時間かかっている」「GA4のデータをスクショしてパワポに貼っている」——こんな作業をしていませんか。
Looker Studio(旧Googleデータポータル)は、Googleが提供する無料のBIツールです。GA4、Google広告、Search Console、スプレッドシートなどのデータソースと直接接続し、自動更新されるダッシュボードを作成できます。
無料でありながら、共有、フィルタ、条件付き書式、メール配信スケジュールなど、実務に必要な機能は一通り揃っています。WebLeapでも、クライアントへのレポーティング基盤としてLooker Studioを標準採用しています。
この記事では、GA4データを接続してから経営判断に使えるダッシュボードを完成させるまでの具体的な手順を解説します。
STEP 1:Looker Studioの基本を理解する
画面構成
- レポートエディタ:ダッシュボードを編集する画面
- データソース:接続先のデータ(GA4、広告、スプレッドシートなど)
- コンポーネント:グラフ、テーブル、スコアカードなどの可視化要素
- フィルタコントロール:閲覧者が日付やチャネルを絞り込むUI部品
覚えるべき3つの概念
- ディメンション(切り口):日付、チャネル、ページ、デバイスなど
- 指標(数値):セッション数、CV数、CVRなど
- フィルタ(絞り込み):特定の条件でデータを限定
STEP 2:GA4データソースの接続
手順
- Looker Studio にアクセス
- 「空のレポート」→「データソースを追加」
- 「Google アナリティクス」を選択
- GA4プロパティを選択 →「追加」
接続時の注意点
- GA4の接続には、対象プロパティの「閲覧者」以上の権限が必要
- 接続後、Looker Studio上でカスタム指標(計算フィールド)を追加可能
- データの反映には最大48時間のラグがある(リアルタイムではない)
失敗談: クライアントのGA4を接続した際、間違えてUAプロパティに接続してしまい、「データが違う」と1日悩んだことがあります。GA4のプロパティは「GA4 – プロパティ名」と表示されるので、必ず確認してください。些細ですが、意外とハマるポイントです。
STEP 3:レイアウトパターン(テンプレート)
目的別に3つのレイアウトパターンを紹介します。
パターンA:エグゼクティブサマリー
対象:経営層、事業責任者
1ページで完結させる。
┌─────────────────────────────────────────┐
│ [日付フィルタ] 最終更新: 自動 │
├──────────┬──────────┬──────────┬─────────┤
│ セッション │ CV数 │ CVR │ CAC │
│ 12,450 │ 142 │ 1.14% │ ¥8,500 │
│ ▲ +8.2% │ ▲ +12% │ ▲ +0.2pt│ ▼ -5% │
├──────────┴──────────┴──────────┴─────────┤
│ [月次推移の折れ線グラフ:セッション & CV] │
├──────────────────────┬───────────────────┤
│ チャネル別CV(横棒) │ デバイス別CVR(棒) │
└──────────────────────┴───────────────────┘
スコアカードには前月比を表示し、条件付き書式で「改善=緑、悪化=赤」を設定。
パターンB:チャネル別パフォーマンス
対象:マーケ責任者
チャネルの比較と投資判断に特化。
┌─────────────────────────────────────────┐
│ [日付フィルタ] [チャネルフィルタ] │
├─────────────────────────────────────────┤
│ チャネル別テーブル │
│ チャネル | セッション | CV | CVR | CPA │
│ Organic | 5,200 | 82 | 1.58%| ¥0 │
│ Paid | 4,100 | 35 | 0.85%|¥12K │
│ Social | 2,300 | 18 | 0.78%|¥8K │
│ ... │
├──────────────────────┬───────────────────┤
│ チャネル別月次推移 │ CVRトレンド │
└──────────────────────┴───────────────────┘
パターンC:ページ別コンテンツ分析
対象:マーケ担当者、コンテンツ担当
どのページが成果に貢献しているかを分析。
┌─────────────────────────────────────────┐
│ [日付フィルタ] [ディレクトリフィルタ] │
├─────────────────────────────────────────┤
│ ランディングページ別テーブル │
│ ページ | セッション | CV | CVR | 直帰率 │
├──────────────────────┬───────────────────┤
│ PVランキング(棒) │ CV貢献ページ(棒) │
└──────────────────────┴───────────────────┘
STEP 4:実装の具体手順
スコアカードの作成
- エディタ上部の「グラフを追加」→「スコアカード」
- 指標に「セッション」を設定
- 「比較期間」で前月比を追加
- スタイル設定で条件付き書式(正=緑、負=赤)
時系列グラフの作成
- 「グラフを追加」→「時系列グラフ」
- ディメンション:日付
- 指標:セッション、CV数
- グラフの種類:折れ線(2軸推奨、セッションとCVはスケールが違うため)
テーブルの作成
- 「グラフを追加」→「テーブル」
- ディメンション:デフォルトチャネルグループ
- 指標:セッション、キーイベント、キーイベント率
- 並び替え:キーイベント(降順)
計算フィールドの活用
Looker Studioでは、既存の指標を組み合わせた計算フィールドを作成できます。
例:CPA(コスト÷CV数)
広告費用 / キーイベント
例:目標達成率
キーイベント / 150 * 100
(月間目標CV数が150の場合)
STEP 5:フィルタとインタラクション
日付フィルタの設置
ほぼすべてのダッシュボードで必須。
- 「コントロールを追加」→「期間設定」
- デフォルト期間を「過去28日間」などに設定
ドロップダウンフィルタ
チャネル、デバイス、地域などで絞り込み可能にします。
- 「コントロールを追加」→「プルダウンリスト」
- ディメンション:「デフォルトチャネルグループ」
グラフ間のインタラクション
Looker Studioでは、1つのグラフをクリックすると、同じページの他のグラフも連動してフィルタされる機能(クロスフィルタリング)があります。これを有効にすると、ドリルダウン体験が格段に向上します。
STEP 6:共有と運用
共有設定
- 閲覧者として共有:データを見るだけ(経営層向け)
- 編集者として共有:ダッシュボードを編集可能(マーケチーム内)
- リンク共有:URLを知っていれば閲覧可能(社内全体向け)
メール配信スケジュール
- 「共有」→「配信のスケジュール」
- 配信頻度:毎週月曜午前9時など
- 受信者のメールアドレスを設定
- PDF添付で配信される
WebLeapの活用例: 上場企業のマーケティング責任者時代、経営層向けのLooker Studioレポートを毎週月曜の朝に自動配信する仕組みを構築しました。「レポートは自動で届くもの」という状態にしたことで、「レポート作成」という作業が消え、「レポートから何を読み取るか」に時間を使えるようになりました。
Looker Studioの限界と対処法
万能ではないことも理解しておきましょう。
| 限界 | 対処法 |
|---|---|
| リアルタイムデータは非対応 | 即時性が必要ならGA4の画面を直接確認 |
| 複雑な統計処理は不可 | BigQuery連携 or スプレッドシート側で前処理 |
| デザインの自由度に限界 | スライドでの最終化が必要な場合はPDF出力→パワポ |
| データソース間のJOINに制約 | 統合データソースまたはスプレッドシート経由で結合 |
現場のまとめ
Looker Studioは「無料のBIツール」ですが、設計次第で有料ツールに匹敵するダッシュボードが作れます。大事なのは、ツールの機能を覚えることではなく、「誰が、何の判断のために見るか」を先に設計することです。
まずはパターンAのエグゼクティブサマリーを1つ作ってみてください。スコアカード4つと折れ線グラフ1つ。30分で作れます。そこから、チームの反応を見ながら育てていきましょう。
WebLeapのデータ分析基盤構築サービスについて詳しくはこちら → /service/data-analytics/